魔人ブウ(まじんブウ)とは、鳥山明の漫画『ドラゴンボール』およびそれを原作とするアニメに登場する架空のキャラクター。アニメでの声優は塩屋浩三。「魔神ブウ」という表記は誤りである。
キャラクター設定[]
かつて地球の人類が二足歩行を始めた頃に存在した邪悪な魔導師、ビビディがあるとき偶然作り出した魔人。比較的人間に近い体格とサイズをしているが、ピンク色や薄黒い色の肌、また頭の触覚など、その姿や中身は到底人間とはかけ離れており、その強さも並の戦士たちとは比べ物にならないほど強力である。原作およびアニメ「ドラゴンボールZ」最強最後の敵であり、作中にて孫悟空がその強さに感服し、転生を願ってまで再戦を望んだ唯一の相手でもある。なお、閻魔大王の計らいによって、その願いは後に叶えられた。
作られた当初のブウは理性や感情に欠け、言葉は話さず、純粋な破壊と殺戮本能のみで動く存在であり、ビビディでさえも制御不能な「失敗作」ではあったが、界王神たちを吸収することによって知性と理性を身に付けるようになった。
ストーリーへの絡み[]
遥か昔、魔導師ビビディが偶然から誕生させる。生み出されてから数年間で数百の星を滅ぼし、また5人の界王神のうち2人を殺害、さらに大界王神と南の界王神を吸収した。その後、手なずけるのに苦労していたビビディが魔人ブウを玉に封印。その状態で、次なる侵攻のため、まだ人類が二本足でやっと立ち始めた頃の地球に運び込む。しかし直後にビビディが東の界王神に殺され、玉の中で放置されたまま長い時を過ごすことになる。
エイジ774年5月7日、ビビディの息子であるバビディが玉の封印を解き、復活。バビディが配下に置いていたダーブラをクッキーに変え食べて殺害し、東の界王神と孫悟飯に瀕死の重傷を負わせ、ベジータの自爆からも復活する。その後、バビディの命令で破壊行為を行っていたところで、トランクスにドラゴンレーダーを取りに行かせるための足止めとして、超サイヤ人3に変身した悟空と対決する。二人の勝負はトランクスが目的を果たしたため悟空が撤退したことで幕を下ろすが、その際に近日中にブウを超える戦士が現れることを告げられると同時に、ブウは大人しくバビディに従っていることに疑問を抱く。その直後、かねてから不満を感じていたバビディから罵られたことでバビディを殺害。自由の身となったブウは遊び感覚で破壊行為を繰り返す。
地球の人々や街の約8割を消滅させた頃、ブウを倒すために現れたミスター・サタンと出会う。ブウを倒すために様々な手段を試すサタンであったが、ブウには全く効果がなかった。しかし、サタンの存在と目的を知らなかったブウは彼を気に入り、自分の家来にする。サタンとの生活によって、一度は殺戮、破壊行為をしないと約束するも、その後罪無き者たちを殺していた2人の悪人によって、ブウの拾ってきた犬とサタンが銃で撃たれたことに激怒。この怒りがきっかけとなって、ブウは無邪気で純粋な善のブウと純粋悪のブウに分離する。二人のブウは対決するが、力の大半を純粋悪のブウが持っていったため、善のブウは歯が立たず、吸収されてしまう。これにより、ブウは悪のブウ主導のもとに再び一つの存在となる。
戦闘向きの体に変化した悪のブウは気を探る能力を身につけ、ピッコロたちの気を探って天界に現れる。かつて悟空に言われた「ブウを超える戦士」を要求するブウに対し、ピッコロは「戦うのは人類を絶滅させてからでも遅くないはずだ」と時間を稼ごうとするが、ブウは天界から無数の光線を放ち、天津飯・餃子・サタンを除く地上にいた地球人全てを一瞬で皆殺しにする。その後、精神と時の部屋でゴテンクス、地上に出た自分たちのもとへ駆け付けた悟飯、そして現世に復活した悟空と続けて対決するも、自分が不利になるや、ゴテンクスとピッコロ、さらには悟飯を次々に吸収してパワーアップする。しかし、悟空とベジータがポタラによって合体した戦士、ベジットには惨敗し、その後わざと取りこまれて体内に潜入した悟空とベジータによって、吸収した悟飯らを引き剥がされてパワーダウンし、自身の体内に現れて戦闘になる。だが、ベジータが悟飯らと同様に吸収されていた善のブウを引き剥がしてしまったことで、大界王神らを吸収する前の、理性も自制心もない邪悪そのものな存在(東の界王神曰く、「最初の一番厄介な奴」)のブウ(純粋)へと変化してしまう。
ブウは地球そのものをも消滅させてしまい、界王神界に瞬間移動して悟空たちを追ってきた。対決を覚悟した悟空たちはブウに最後の決戦を挑む。ブウはその圧倒的な強さでもって、超サイヤ人3に変身した悟空を追い詰める。サタンに攻撃を加える直前、サタンと仲良しだった善のブウを吐き出し、ブウ同士の戦いを経て、最期は全人類の気を集めた悟空が元気玉をブウに投げ付ける。ブウは元気玉をも受け止めかけたが、デンデとドラゴンボールの助けによって体力を回復させて力を一気に爆発させた悟空によって、ブウは遂に消滅した。その後、残った善のブウはミスター・ブウと名乗り、サタンの弟子として同居する。アニメでは、拳法の達人との試合に圧勝したり、宝石店強盗(正体は前述の拳法の達人)を倒すなど活躍をしており、これによってグレートサイヤマン1号・2号(悟飯とビーデル)の活躍は減った。
能力[]
身体系[]
体は魔人ブウの意思により自在に変化し、身体を柔らかく変化させたり、元の体積を超えて身体を伸張させることもできる。身体から離れた肉体を操作することも可能で、自分の身体を千切って武器にすることも可能。
また、生物として体力の概念があるか疑わしいほどの耐久性を持つ。たとえ粉々にされようと肉片同士が集合して難なく復活できる生命力を持ち、肉片が燃やされたとしてもその燃えカスから出た煙から復活してしまう。おまけに再生時にダメージも回復してしまうため[1]、倒すには細胞レベルで完全に消滅させる以外にない。ただし、魔人ブウ同士の戦闘ではダメージを受けるため完璧ではない。
服を着ているが、その服も魔人ブウの身体の一部であるようで、再生時には基本的に同時に復元される。
特殊系[]
独特の「気」を備えており、普通の生命体の気に比べて正確な強さが判断しにくい。作中では悟空のみがブウ(無邪気)の気について、「どこか普通とは違う気だ」と違和感を覚えていた[2]が、ブウ(純粋)に至っては直接手合わせしなければ判断がつかなかった。
頭部の触角からの光線で生物を様々な物に変えることができる(後述)他、技などに関しては1度見ただけですぐに自分のものにできるほどの高い学習能力を持っており、悟空のかめはめ波や界王神の「瞬間移動」などの技を自分のものにしている。
また、学習したのか元から本能として使えたのかは不明だが、気功波や舞空術といった力も自在に使いこなす。
種類[]
名前の横の括弧書きの表記は正式名称ではなく、仮称。作中ではブウは様々な姿に変化しているが、名前は一貫して「魔人ブウ」である。
魔人ブウ(無邪気⇒善)[]
作中において最初に登場したブウ。ファンの間ではデブブウ、善ブウと呼ばれる。
非常に太った体型をしている。ブウの中でも最も大人しい方であり、子どものような無邪気さも持った制御しやすい性格となっている。だが、ブウ(純粋悪)と分離するまでは、善悪の判断力は乏しく、純粋に「遊び」として破壊や人(とくに逃げ惑う人間)を殺す行為を楽しむ。また「フランダースのイヌ」のような悲しい話を聞くと喜ぶ感覚も持っていた[3]。菓子類が大好きで、爆破以外の方法で人を殺す際にはチョコレートや飴玉、クッキーなどに変えて食べることが多い。なお、睡眠時間はわずか5秒ほどでよく寝たことになる様子。原作においてこの形態と後述のブウ(悪)の台詞は、その大半がひらがなとカタカナの表記で占められている。一人称は「オレ」、「ボク」[4]。
ビビディにとってブウ(純粋)は全く制御ができない「失敗作」であったが、温和で優しい性格だった大界王神を吸収し、このブウに変化したことで、ようやく制御可能となった。ビビディに「人殺しは楽しいこと」と教えられ、それに沿って自分が楽しむために破壊と殺戮を繰り返していたが、それでもビビディは移動するときや休む際にはブウを一旦封印しなければならないほど、手を焼く性格である。
作中にて悟空たちと戦ったブウの中で戦闘力は最も低いが、それでもバビディに洗脳され、自身の潜在能力を限界を超えて引き出されパワーアップしたベジータでさえ全く歯が立たないほどの強さであり、超サイヤ人3に変身した悟空とも互角の戦いを繰り広げた[5]。ただし、当の悟空は界王神界でのブウ(純粋)戦に臨む際に、「本当は超サイヤ人3で倒せていた」と発言している。また、他者の肉体の治療や物体浮遊など、魔術めいた力も持つ。
前述のように「遊び」として破壊や人を殺す行為を行ったものの、作中にてミスター・サタンや子犬のベエ、盲目の少年(声:林原めぐみ)のように自身が気に入った者、もしくは自身に好意を見せた者に危害を加えることはなかったほか、他者に好かれたり、「かっこいい」と言われると嬉しがる様子も見せている。サタンに説得されたことでビビディに教えられた破壊や殺戮を楽しむことをやめることを約束するも、その直後、魔人ブウの混乱に乗じて人々を殺害していた2人組によってベエやサタンを傷つけられ激怒したことがきっかけとなり、ブウの持っていた善悪の心の内の悪の心が分離、善と純粋悪のブウ同士の戦いが始まる。ブウ(善)は分離した際に力の大半をブウ(純粋悪)に奪われており苦戦を強いられ、一か八か相手をチョコレートにしようとするも光線を跳ね返されてしまい、逆に自分がチョコにされてしまう。その後はブウ(悪)によって食べられ、吸収されたが、通常のお菓子として食べられた者と違って特別扱いされており、死亡せずにブウ(悪)の体内で眠りにつくことになる。
その後、ブウ(悪)の体内に侵入することに成功した悟空とベジータに発見され、ベジータによってブウ(悪)から引き剥がされるが、外に連れ出されずに体内に置いていかれたため、結果的に地球の崩壊から逃れることに成功する。界王神界でブウ(純粋)がサタンに危害を加えようとした際にブウ(純粋)の体内でリミッターとなり、体外に吐き出され再度分離。その後サタンを守るためにブウ(純粋)と戦い、悟空たちの時間稼ぎに貢献[6]。結果的には地球を救うのに一役買う形となり、それが悟空に認められブウ(純粋)戦後、瀕死になって倒れていたところをデンデに回復してもらう。
決戦後はサタン宅に身を隠し、その後ドラゴンボールで人々の記憶から「魔人ブウ」の記憶を消してもらったため、以後は「ミスター・ブウ」としてサタンと生活するようになる。天下一武道会では、サタンと戦う挑戦者を決めるトーナメントで勝ち残り、八百長でサタンに負ける役目をずっと担っている様子。
ブウを演じた塩屋はこの形態を「わがままな3歳児」をイメージして演じたと語る[7]。
ドラゴンボールGT[]
Z末期に引き続きミスター・ブウとして生活している。従来の吸収能力に加え、分離・同化能力が備わっている。悟空の気を感じるなど気を感じる能力を会得しているが、戦闘シーンは全くなく、ベビーには「ザコ」と称された。
悟空たちが宇宙に旅立った9か月後、ベビーの手により周囲の人間や地球に異変が起こったことに気がついたサタンを、身体の中に隠し、ブウ自身もベビーに入り込まれ卵を産み付けられたが孵化させずに押さえつけた。悟空がベビーに敗れた後は、新たにパンも体の中に隠しツフル星に潜入。その後、サタンやパンと分離し、ベビーと闘う自分の分身であるウーブを助けるためサタンと最後の別れをしウーブと同化する。
ブウ自身の人格は完全に消滅したわけではなく、天下一武道会においては、サタンのことをよく知らず全力で闘うウーブに「サタンに勝ってはいけない、サタンが負けたらみんな悲しむ」と彼を制止する一幕もあった。
魔人ブウ(純粋悪)[]
前述のブウ(無邪気)から分離した、ブウの悪の心。ファンの間ではガリブウと呼ばれる。
ブウ(善)とは対照的に、痩せ細ったガリガリの体型をしている。分離した際にパワーの大部分がこの形態の方に移ってしまったため、分離する前の人格を持っているブウ(善)より強い。ブウ(善)を吸収し、後述のブウ(悪)に変身した。原作では一言も話していないが、アニメではブウ(善)と自分がブウであることを主張し合っていた。アニメでの一人称は「オレ」。
魔人ブウ(悪)[]
ブウ(無邪気)から分離したブウ(純粋悪)が、ブウ(善)を吸収して変化した姿。ファンの間ではノッポブウ、悪ブウと呼ばれる。
性格はさらに残忍になり、体格も戦闘向きになっている。この状態では気を感じる能力も身につけている[8]。液状と化して生物の体内に侵入・破裂させたり、黒焦げにされた肉片に代わり気体から再生する等、形態変化のバリエーションを多く見せた。ブウ(善)と同様に鼻は存在せず、触覚が嗅覚の代わりとなっているほか、アニメでは首を鳴らす癖がある。一人称は「オレ」。
その強さは、超サイヤ人のゴテンクスを圧倒したが、超サイヤ人3になったゴテンクスには圧倒された。さらに悟空はブウの体内で吸収された仲間を引き剥がした際に「オレたち(悟空とベジータ)にはとてもかなわない強さ」と発言し、ブウ自身も同様の趣旨の発言をしている。ゴテンクスとの戦闘で窮地に追い詰められるも、エネルギー切れでゴテンクスの変身が解けたため、敗北を逃れる。その後、老界王神によって潜在能力を限界以上に引き出されてパワーアップした悟飯に惨敗する。
吸収したブウ(善)の記憶を引き継いでおり、ブウ(無邪気)が戦った悟空や悟飯、ゴテンクスのことを覚えていたほか、ブウ(無邪気)と仲良くなったミスター・サタンのことも忘れてはおらず、悪人を殺害後にサタンの目の前に現れた際には何も危害を加えずその場を去り、地球人を皆殺しにしたとはいってもサタンと犬(ベエ)のみ攻撃の対象から外しており、天界に現れたときにはピッコロにビーデルがサタンの娘であることを教えられたことで決闘の待ち時間を延ばした。また、この形態もブウ(善)同様、お菓子が好きであり、ピッコロが精神と時の部屋の出入り口を破壊し、もう二度と部屋から出られないことを説明した際にはお菓子を食べられないことにショックを受け、次元に穴を開けて部屋から脱出を果たした後にはその場にいたクリリンやブルマ達をチョコレートにして食べた。
ドラゴンボールZ Ultimate Battle 22・ドラゴンボールZ 真武闘伝での名称は「超(スーパー)ブウ」。
吸収後のブウ[]
触覚など体の一部を使い吸収することでパワーアップした姿。吸収後は主に吸収した相手の特徴、あるいは上着を身につけている。作中では当初、老界王神によって潜在能力を限界以上に引き出されてパワーアップした悟飯に惨敗し、悟飯を殺す目的でゴテンクスとピッコロを吸収。ゴテンクスの上着を着て、顔つきや触角の形も変化。鼻もできて、手の指も5本指となった[9]。吸収したゴテンクスのパワーを得た他に、ピッコロを吸収した事で知能も大幅に上がった様子で、口調も大人びた理知的なものとなった。
悟空、悟飯と戦っている中でゴテンクスの変身が解け、弱体化する。しかしさらに悟飯を吸収し、パワーダウン知らずになったが、悟空とベジータが合体したベジットに惨敗。
その後、ベジットを吸収しようとするが失敗し、体内に吸収した悟飯たちを引き剥がされてブウ(悪)に戻る。さらにはベジータに理性や感情、自制心を司るブウ(善)を引き剥がされたことで、ブウ(純粋)へと変化する。
ゴテンクス吸収[]
ゴテンクス(超サイヤ人3状態)を吸収した姿。ファンの間ではゴテンクスブウと呼ばれる。
ゴテンクスのものと同じベスト状の上着を着ているのが特徴で、鼻もできた。パワー、スピードが大幅に上昇し、悟飯を圧倒した。ただし、体内のゴテンクスのフュージョンが解けると、下記のピッコロベースの姿になる。一人称は「わたし」。
ピッコロ吸収[]
ピッコロとトランクス(通常状態)と悟天(通常状態)を吸収した姿。ファンの間ではピッコロブウと呼ばれる。
冷静な判断力を持つ頭脳を手に入れ、知能も上がり台詞にも多くの漢字が加わる。ピッコロのマントをつけている。悟空の発言によると、悟飯と戦っても負けてしまうほどパワーダウンしてしまった。
孫悟飯吸収[]
悟飯を吸収した姿。ファンの間では悟飯ブウと呼ばれる。
上半身に悟空や悟飯と同じデザインの胴着を着ているのが特徴。ゴテンクス吸収形態以上の実力を持つうえ、時間制限も無くなった。魔人ブウ(悪)吸収体の最強形態で、「最強の魔人」[10]、「悟飯を吸収し、最強のブウへ変化」[11]「悟空の超サイヤ人3でもダメージを食らわなかったブウ」[12]、「その強さは悟空1人では超サイヤ人3に変化しても敵わないほど」[13][14]と評されている。しかし超ベジットには手も足も出ず、一方的に打ちのめされていた。一人称は「わたし」、「オレ」。
南の界王神吸収[]
ブウ(純粋)が、南の界王神を吸収し、上半身に筋肉が集まり、大柄な体格になったブウ。ブウ(悪)が一瞬この姿になるとき、悟空は「気が大きくなっている」と発言した。
ベジータ吸収[]
ゲーム「ドラゴンボールZ2」オリジナル。
セル吸収[]
ゲーム「ドラゴンボールZ2」オリジナル。
フリーザ吸収[]
ゲーム「ドラゴンボールZ2」オリジナル。
ヤムチャ&天津飯吸収[]
ゲーム「ドラゴンボールZ2」オリジナル。
魔人ブウ(純粋)[]
ビビディが作り出した魔人ブウ本来の姿。ファンの間ではチビブウ、純粋ブウなどと呼ばれる。
見た目は子供のような小柄な体型をしているため、当初悟空たちも侮ったが、大界王神を吸収することでパワーを減らしてまで手に入れた[15]“心”を失い、力を抑える理性や自制心が全くないため、純粋に破壊のみを追い求める凶暴な性格をしており、今までのブウと違って言葉を話すこともできない。本能に忠実に動き、相手を無視して居眠りをしたり、ゴリラのようにドラミングをしたり、元気玉に気付きながらも乱入した目先のベジータを痛めつけ楽しむなど、行動基準は獣や子供に近いが、アニメでは元気玉完成時に動けないベジータを盾にするなど、ある程度の知性は持ち合わせている。
その強さは、5人の界王神や超サイヤ人2のベジータ、自身と分離したブウ(善)が全く手に負えず、超サイヤ人3に変身した悟空が全力で闘っても互角以上の余裕をみせ、自身の持つ完全再生能力によって優勢を保ち、当の悟空が「ブウはふざけて、わざと自分の再生を遅らせたりしている」と発言している。悟空は時間をかけて気を貯め続けることだけに専念できれば、ブウを再生不能に消し飛ばすことができるはずと言っていたが、実際は生きた状態での超サイヤ人3のエネルギー消費と、魔人ブウからの戦闘ダメージが想像以上で、そこまで気を溜めることはできなかった。笑顔を浮かべながら悟空と戦っており、悟空と違って終始余裕を見せていたが、完成した特大の元気玉を見たときだけは表情が引きつった。だがその特大の元気玉をも一時は押し返すほどの力をみせ、アニメでは押し返されないようにもう一度世界中から更なる元気を集めさせようと、べジータがサタンに迫ったりもした。アニメでは「パワー、スピード、回復力、全てにおいて今までのブウとは段違い」と悟空が発言しており、原作でも界王神が「最初の一番厄介な魔人ブウに戻ってしまった」と認めている。各種書籍では「宇宙最強の敵[16]」「最も初期の純粋魔人ブウに変化。が、その力はより強力に![17]」「驚くべき最強パワーを持つ[18]」「パワーアップしたブウ[19]」などと紹介されている。
戦闘スタイルはそれまでのブウとは一線を画している。問答無用に相手を星ごと消し飛ばそうとしたり、地面に足を突き刺し、敵の足元から突き出させ蹴りを見舞ったり、身体をボールのように丸めて強烈な突進を浴びせたり、分離させた腕を丸め相手にぶつけるなどした。アニメではバラバラになった身体のそれぞれを無数の小さなブウへと再生させ、集団での連続エネルギー弾を放ってベジータを苦しめるなど、伸縮自在な身体を最大限に活かしたものになっている。
地球を破壊し、界王神の瞬間移動を見切り界王神界に瞬間移動する。アニメではその前に周囲の星や大界王星にも瞬間移動し、パイクーハンなどに圧倒的な力で勝利。さらには大界王星をも破壊しようとするが、死人が殺される前に悟空らが界王神界に誘き寄せた。界王神界にて悟空やベジータを追い詰めるが、自身を挑発したサタンに攻撃を加えようとした際、ブウ(善)が体の中にいたため拒否反応を起こして分離。最後は悟空の、Z戦士や地球人やナメック星人、あの世の人々の元気を限界ギリギリまで集めた、超特大の元気玉によって倒された。
その後、再び闘いたいという悟空の願いを聞いていた閻魔大王により、貧しい村の少年・ウーブとして転生。賃金を稼ぐために参加した第28回天下一武道会で悟空と出会い、悟空の新たな弟子に迎え入れられることとなった。
ドラゴンボールZ 偉大なるドラゴンボール伝説では「最強魔人」と評されており、他の各種ゲームでも原作最後の敵ということもありラスボスを務めることが多い。
魔人ブウの技[]
- 変化ビーム/おやつ光線[20]/ハッピースウィーツ/チョコレートビーム[21]/ミルキーチェンジ
- 頭部触角から放たれる、相手を自分の好きな物に変える光線。原作では生物にしか使用していないが、アニメでは無生物である岩にも使用している。お菓子だけでなく、粘土や卵、トイレに変えることも可能。この光線を浴びて変化させられた生物は意思や自我が消失し、その状態で破壊されると死亡する。ただし、自分よりも圧倒的に強い相手はその限りではなく、姿・形が変化しても意思や自我が消失しないうえ、元々の強さも変わらない。
- お菓子の場合、通俗上知られている普通のお菓子に変わる場合と、光線を浴びたキャラクターを模ったお菓子(作中ではダーブラなど)になる場合がある。
- GTではブウと融合したウーブがベビーの体内に侵入するためにこの技を使用した。また、自身が変化させられた場合はその状態で破壊されても無傷で元に戻ることが可能。
- 全身からの衝撃波/ブウボム[20]/アングリーエクスプロージョン[22]/おまえなんか…キライだぁー![23]
- 名前はゲームより。相手への怒りを込め広範囲に渡って大爆発を起こす技。原作では「おまえなんかきらいだーっ!」と叫んでいたが、ゲームによっては「きらいだ」が「消えちゃえ」になっているものもある。
- 衝撃波
- 念力で衝撃を与える。界王神が使用したのを見切って習得した。
- マイティネスボマー[24]/消えちゃえ!
- 巨大なエネルギー弾。悟飯を瀕死状態にした技で、着弾しても爆発することはなく、標的もろとも遥か彼方に吹き飛ばす。
- イノセンスキャノン[22]/フレイムシャワーブレス/都市破壊攻撃[23]/ヘルブレス[25]
- 名前はゲームより。口から猛烈なエネルギーを吹き出す技。街を吹き飛ばす際の「お掃除」のために使った技。
- イノセンスエクスプレス[26]/よーい、ドン!
- 「よーい、ドン!」の掛け声とともに走り出し、相手に突進する技。
- デンジャラスリキッドボム[20]
- 体を液状化し敵の口の中から体内に侵入し体を破壊する。ベエを傷つけた悪人をこの技で殺している。アニメではベジットに使用した際は彼の気で動きを封じられ逆に自分が一方的に攻撃されることになった。
- 人類絶滅攻撃[27]/超拡散連続エネルギー弾[20]/人類絶滅ホーミング弾[28]/人類皆殺し攻撃[23]/アサルトレイン[29]
- 地球上の全人類を対象に無数のエネルギー弾を放つ。正確に人体を貫き、地球自体にはほとんど損傷を残さなかった。天津飯と餃子のみ回避に成功し、ミスター・サタンとベエは攻撃対象から外されたため助かった。
- イルボールアタック[30]/ハイドラスマッシャー[29]/ミスティックコンビネーション[21]
- 名前はゲームより。体を丸めて球体になり、相手に突進する技。
- 自爆/リベンジデスボンバー[28]
- 名前はゲームより。身震いさせた体を爆ぜて辺り一面を吹き飛ばす技。姿を一時眩ませるために使用された。ゲームでは使用すると体力が残り僅かにまで減る。
- 吸収
- 分離した肉片(切断された体の一部)を使って相手を包み込み、自身に取り込む。吸収した相手の戦闘能力、技、知能を得ることができ、体形、戦闘力、知力、性格が変わるほか、服も吸収した相手の着用物に影響される。しかし、吸収した対象や状況によっては逆に弱体化する欠点もある。
- 作中ではブウ(善)、ゴテンクス、ピッコロ、悟飯、ベジット、南の界王神、大界王神を取り込んだ。ただし、ベジットは取り込まれる寸前にバリヤーで防ぎ、吸収を免れている。また、ブウ(善)のみブウ(純粋悪)にチョコレートにされ食べられたことで吸収が成立した。
- 前述の通り、ゲーム「ドラゴンボールZ2」オリジナルの形態として、ベジータ、セル、フリーザ、ヤムチャ&天津飯を吸収した形態が登場。吸収対象によって能力に補正がかかる[31]。
- 地球崩壊の一撃[27]/パワーボール/バニシングボール[22]/プラネットバースト[28]/
- 掲げた手の上で作り出して放つエネルギー弾。この技で地球を破壊し、アニメでは大界王星も破壊しようとした。
- かめはめ波
- 両掌に気を集中させ、一気に放出させる気功波。元々は亀仙人が開発した技。悟空と初めて交戦した際、見切って習得した。かめはめ波のモーションながらも名称が「イノセンスキャノン」となっているゲームもある。
- 瞬間移動
- 地球破壊の直前でキビト界王神が悟空達を連れて脱出した際、見切って習得した。界王神ベースの技術であるため、あの世を経由せずとも宇宙の外にある界王神界へと直接移動が可能。原作ではすぐに界王神界に移動してきたが、アニメでは周囲の星や大界王星を襲撃したあと、気を上げた悟空たちを察知して界王神界に移動してきた。
- スーパーゴーストカミカゼアタック
- ゴテンクスの技。ベジットに使うが、余裕でエネルギー波で迎撃される。『Z』266話では悟飯にも使い、「スーパーブウカミカゼアタック」と称した。またオバケ自体もかめはめ波や魔閃光が使用可能になっている。ベジット曰く「子供の考えた技」。
- 連続スーパードーナッツ
- ゴテンクスの技。悟飯に使い、動きを封じ込めかめはめ波を撃つが、当たる直前に破られ避けられる。
- 魔貫光殺砲
- ピッコロの技。Z266話にて使用。悟飯を驚かせるが防御される。
- アイビーム
- 『Z』267話で使用。目から光線を発射する。
- 回復の術
- 掌や頭の触角から光を発して対象の傷を治療する魔術。削り取られた肉体も完全に再生できる。作中では盲目の少年の眼を治療したりと、病気にも有効。死亡していない限り治癒可能と非常に強力。
補足[]
原作『ドラゴンボール』や、アニメ『ドラゴンボールZ』に登場した最強最後の敵であり、「元気玉」によって倒された唯一の悪役でもある[32]。また、弱い者はあっさりと殺すが、強い者との対戦時には嬉しがる様子を見せ、戦闘を楽しむ。
名前の由来は呪文「ビビデバビデブー」から[33]。ちなみに、本編ではこの名前を何度か言葉遊び扱いされており、アニメでは悟空から「オナラみたいな名前」と言われ、ミスター・サタンも原作・アニメともに前述のようにシャレていた。
作者の鳥山は「もし、もうひとつの『ドラゴンボール』を描くとしたら、サタンとブウのギャグマンガにしたい」と語っている[34]。また、鳥山はお気に入りのバトル2位に「魔人ブウ(悪)VSゴテンクス」を挙げている[35][36]。「この頃わりとのって描いてた」[35]、「変な必殺技考えたりして、描いてて楽しかった」[37]、「こういうバカバカしい闘いが好き」、「こういう『しょーもなさ』が描いていて楽しい」と鳥山は語っている[36]。鳥山は連載中に「ブウというキャラが勝手に動き出し始めた。ひょっとしたら凄いキャラに成長するかも」とコメントしていた[38]。
アニメでブウを演じた塩屋浩三は、ブウを演じるまでも多くのゲストキャラクター(グルド等)を作中内で演じていた。そのため、「普段の仕事の延長で役を振られたようだった」と語っている[7]。
ピッコロ大魔王、フリーザ、セルと同様に長期にわたり戦い続ける前提だった。非常にシンプルなデザインとなっている。
漫画『ネコマジンZ』にもゲスト出演している。非常に良く似た外見のため、ネコマジンZ本人と間違えられるシーンが存在した。
「ドラゴンボールZ ヒット曲集」シリーズでは『魔人ブウに捧げるバラッド』『魔人ブウの悲劇』の二曲が作られている。
複数のテレビゲーム作品にも登場しており、中にはブウ(純粋)が悟飯吸収ブウなどよりも高い戦闘力に設定されているものもある。
脚注[]
- ↑ ただし、ダメージが大きすぎる場合は回復がやや遅れる。
- ↑ アニメでは悟空がベジータに「お前も気付いているはずだ」と発言している。
- ↑ 読んだサタンは涙を流していた。
- ↑ 作中にて「ボク」と称したのはベジータとの戦闘時にトランクスに吹っ飛ばされた後、「ボクのことぶったのだれだ」と発言したのみである。
- ↑ 悟空との戦いではベジータの技を繰り出したほか、悟空のかめはめ波をも瞬時に見切って習得し、悟空に「すっとぼけた顔してるけど天才だ」と賞賛されている。
- ↑ アニメでは、悟空の元気玉のアシスト及びサタンに身動きの取れないベジータを救出させるためボロボロになりながらも自らブウ(純粋)に向かっていった。なおその際、駆け寄って来たサタンをはね退けた。
- ↑ 7.0 7.1 ジャンプ・コミック出版編集部編「天下一声優陣 其之二 魔人ブウ役 塩屋浩三」『テレビアニメ完全カイド「DRAGONBALL」~天下一伝説~』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2004年7月2日、ISBN 4-08-873705-9、174-175頁。
- ↑ ただし、止まっている相手を感じ取ることだけにとどまり、気を感じながら相手の動きを読むことはできていない。
- ↑ アニメではピッコロやセル同様、放送コードの関係から吸収前ブウも5本指だった。
- ↑ 「べジットvs魔人ブウ The Best Bouts No.4」 ドラゴンボール完全版公式ガイド ドラゴンボール フォーエバー 2004年5月5日 34頁
- ↑ 「激闘名場面集」 ドラゴンボール大全集5 187ページ
- ↑ 「超絶激闘集2」 テレビアニメ完全ガイド ドラゴンボールZ孫悟空伝説 165頁
- ↑ 「強敵列伝」 テレビアニメ完全ガイド ドラゴンボールZ孫悟空伝説 186頁
- ↑ ただし、作中にて超サイヤ人3状態の悟空との対戦はない。
- ↑ 単行本42巻80ページ
- ↑ ドラゴンボール大全集 2巻 242ページ
- ↑ ドラゴンボール大全集 別巻1 120ページ
- ↑ ドラゴンボール大全集 別巻1 124ページ
- ↑ DRAGON BALL FOREVER 140ページ
- ↑ 20.0 20.1 20.2 20.3 プレイステーション専用ソフト『ドラゴンボールZ Ultimate Battle 22』
- ↑ 21.0 21.1 プレイステーション2・Wii専用ソフト『ドラゴンボールZ Sparking! NEO』
- ↑ 22.0 22.1 22.2 PS2ソフト『ドラゴンボールZ2』
- ↑ 23.0 23.1 23.2 ゲームボーイアドバンス専用ソフト『ドラゴンボールZ 舞空闘劇』
- ↑ スーパーファミコン専用ソフト『ドラゴンボールZ 超武闘伝3』
- ↑ ニンテンドーDS専用ソフト『ドラゴンボールZ 舞空烈戦』
- ↑ プレイステーション2専用ソフト『ドラゴンボールZ3』
- ↑ 27.0 27.1 渡辺彰則編 「SPECIAL ATTACKS エスカレートする必殺技 その12 魔人ブウ編」『ドラゴンボール大全集 2巻』集英社、1995年8月9日、ISBN 4-08-782752-6、217頁。
- ↑ 28.0 28.1 28.2 プレイステーション2ソフト『ドラゴンボールZ Sparking!』シリーズ
- ↑ 29.0 29.1 ニンテンドーDS専用ソフト『ドラゴンボールZ 舞空烈戦』
- ↑ プレイステーション2専用ソフト『ドラゴンボールZ3』
- ↑ ゲームではヤムチャ&天津飯吸収形態のみパワーダウンしている。
- ↑ 元気玉は、悟空最大の技であったにもかかわらず、アニメオリジナル作品以外では敵を倒したことがなかった。
- ↑ ジャンプ・コミック出版編集部編「capsule column 5 キャラ名の由来を知りたい!」『ドラゴンボール完全版公式ガイド Dragonball FOREVER STORY 人造人間編~魔人ブウ編 All BOUTS & CHARACTERS』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2004年5月5日、ISBN 4-08-873702-4、159頁。
- ↑ 「鳥山明が選ぶ究極のベスト」 ドラゴンボール大全集4巻 38頁
- ↑ 35.0 35.1 「鳥山明が選ぶ究極のベスト」 ドラゴンボール大全集4巻 109頁
- ↑ 36.0 36.1 ジャンプ・コミック出版編集部編「マンガ「DRAGON BALL」の真実 トリヤマはこう考えていたよスペシャル」『DRAGON BALL 超エキサイティングガイド ストーリー編』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2009年3月9日、ISBN 978-4-08-874803-0、91頁。
- ↑ 「鳥山明的超会見」 ドラゴンボール大全集4巻 167頁
- ↑ ジャンプ 1994年32号 巻末コメント。「ベストオブ巻末コメント」 ドラゴンボール大全集7巻 311頁。
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