人造人間17号(じんぞうにんげんじゅうななごう)は、鳥山明の漫画『ドラゴンボール』およびそれを原作としたアニメなどに登場する架空の人物。担当声優は中原茂。
本項では、アニメ『ドラゴンボールGT』に登場する新17号、超(スーパー)17号についても併せて解説する。
人物像[]
レッドリボン軍の生き残りの天才科学者ドクター・ゲロが、孫悟空を殺害する目的で人間の男をベースに改造したサイボーグ。永久エネルギー式。同じくゲロによって改造された人造人間18号は双子の姉である。外見は優男風の少年で、黒髪の長髪。首にオレンジ色のスカーフを巻いている。また、腰には自動拳銃とホルスターが初登場時から備えられており常に携帯しているが、作中の世界にて使用することはなかった。
驚異的な戦闘力を持ち、作中で初めて戦闘を行った際にはトランクス、ピッコロ、天津飯の3人を同時に相手にしてもまったく引けを取らず、一方的に打ち負かしている。後に神と融合し、大幅なパワーアップを遂げたピッコロとも互角の闘いを演じた。超サイヤ人をも凌駕するその実力は、ドクター・ゲロの開発した永久エネルギー式の異常なパワーによって担保されており、生みの親であるドクター・ゲロでさえ手に負えないほどである。
自分を勝手に改造したドクター・ゲロを恨んでおり、孫悟空を殺すための行動を開始する前にゲロを殺した。性格は好戦的かつ自信過剰で一度は打ちのめしたピッコロに「来るなら来いよ」と発言するが、その一方で無駄な戦いはせず、悟空の家まで飛んでいかずに「ゲーム」と称してのんびりと車で探すのを楽しみ、それを18号に非難されても「その無駄が楽しい」と返す[1]。また、トランクスの未来世界のような残虐さは持っておらず、「孫悟空抹殺」というゲームを楽しみ、障害は排除していく一方で邪魔をしない、関わらない者へ無闇に危害を加えることはなかったほか、倒したベジータたちにもとどめを刺さず、クリリンに「腕を上げたらまたいつでも相手になってやる」と発言した。自由気ままで「来る者は拒まず、去る者は追わず」を地でいく面があるが負けず嫌いで、自然は大切にする。しかし、自身と18号を吸収しようとして現れたセルとの戦いにおいては、その攻撃的な性格ゆえ16号の忠告を無視することとなり、背後から現れたセルの大きく開かれた尻尾を被り必死で喘ぎもがくもののまるごと飲み込まれ吸収されてしまう(漫画版ドラゴンボール超によると、吸収後も意識は保っていたようで、それにより悟空の声を知った模様。)。ブリーフ博士とブルマによれば改造はほとんどが有機物で行われており、それが細胞レベルでの融合を可能にしたらしい。当初、人間からの改造の際ドクター・ゲロにより、何らかの調整を受けたようであるが、ドクター・ゲロの命令を全く聞かず機能を停止させられていた。だがドクター・ゲロがベジータらに追い詰められたことでやむなく起動するも、勝手に自分達を改造したドクター・ゲロを恨んでいることは変わらず、結局ドクター・ゲロはもうひとつの未来と同じく、17号に殺害された。
その後ドラゴンボールで生き返り、クリリンの願いで体内の自爆装置を取り除かれ、魔人ブウ編では各地を一人で旅していた。ブウとの戦いの時には、悟空の元気玉に協力し、自らの気を貸し与えた。なおその際には猟銃を所持しており、アニメでは元気玉に協力していない猟師2人を猟銃で脅し、無理矢理に手を上げさせるシーンが追加された[2]。
異時系列における人造人間17号[]
作中の世界に存在した17号とは全く異なるほど残虐な性格となっており、18号と共に遊び感覚で街を破壊し殺戮の限りを尽くす絶望の象徴として捉えられている。その過程で孫悟飯をはじめ、トランクスを除く戦士達を皆殺しにし、トランクスをも痛めつけたが、セルとの戦いを経て成長したトランクスの敵ではなく、18号共々あっさりと破壊される。作中の世界では使用しなかった自動拳銃も自身を狙撃した老人を殺害する際に使用したが、アニメでは殺害寸前でトランクスに阻止された。トランクスの未来世界での17号・18号は作中の世界の17号・18号より実力が低かったことがトランクス自身によって語られている[3]。
作中の世界に登場したセルが元々存在していた世界では、現在世界には行ったものの大きなパワーアップをしていないトランクスに何らかの方法によって破壊されている[4]。
ドラゴンボールGT[]
セルをも凌ぐ潜在能力を持っていたが、人間としての感情を完全に捨てることが出来なかったために失敗作と見なされたことがドクター・ゲロにより判明。その不完全な回路を補う目的で開発された新17号に操られて凶悪化。トランクスを襲い、街を破壊したうえ自身を説得したクリリンを殺し、クリリンの妻である姉・18号にも危害を加えた。その後、新17号と合体して超17号へと変化したが、最終的にはクリリンを殺された怒りに燃える18号の気功波攻撃から17号の吸収能力の弱点を見抜いた悟空によって、龍拳とかめはめ波の連続攻撃の前に敗れる。
DVD-BOX付属のブックレットによると、17号は最終回時点で他の地球人たちと一緒に生き返っていることになっておりシナリオも用意されていたが、尺の問題で該当シーンは削らざるを得なかったという。
新17号、超17号ともに17号と同じく中原茂が声を担当した。
- 新17号(ヘルファイター17号)
- あの世でドクター・ゲロとドクター・ミューによってつくられた人造人間。平常時のベジータと互角に渡り合っており、その実力はベジータから「以前の17号よりケタ違いにパワーアップしてやがる」と評されている。
- この世にいる17号と姿形は全く同じだが、オリジナルとは異なり完全ロボット型として制作された。また、性格は残虐非道で、ドクター・ミューによってプログラムを自分だけの命令を聞くように改良されているため、ドクター・ゲロの命令は受け付けない。この世にいる17号の潜在能力を引き出す存在で、17号を洗脳し共鳴させ、地上と地獄の間に穴を開ける。洗脳した17号に姉である18号の夫のクリリンを殺させ、18号も始末させるはずだったが、どこかに17号の心が残っていたのかは定かではないが、18号を殺す事はしなかった。
- この世の17号と合体し、超17号に変身する。本来はドクター・ミューが全ギャラクシー征服を目的として作ったマシンミュータントである。
- 地獄で作られた人造人間=戦士の為、ヘルファイター(ヘルファイター17号)とも呼ばれる。
- 超(スーパー)17号
- この世に現存する人造人間17号と、あの世でドクター・ゲロの人造人間の技術とドクター・ミューのマシンミュータントの技術によって作られた新17号が合体した姿。フラッシュボンバーや、電撃地獄玉など気功系の技をもつ。ドクター・ミュー曰く「究極のマシンミュータント」。
- 17号に比べて髪が長くなり、髪型もオールバックに変化した。そのほか、体系が長身痩躯となっている。凶悪な人相で、不敵な目つきをしている。性格は凶悪で、プライドが高く好戦的、なおかつ容赦を知らない所がある。一方でオリジナルの17号のようにキザな一面や、身体を他人に触られる事、戦闘で服が台無しになることを嫌っている面も見られる。
- 宇宙空間でも行動でき、ドクター・ミューがドクター・ゲロに内緒で付け加えた装置、気功波を身体中に吸収する能力を持っている。そのため相手と距離を取りつつ自分の周囲に注意を向ける戦法を主に行い、悟空の瞬間移動による接近も見切った。
- ベジータたちを圧倒し、ドクター・ゲロを再び殺害する。その後超サイヤ人4に変身した悟空と対戦。10倍かめはめ波を吸収して悟空を窮地に追い込み、バリアによって悟空の自爆攻撃にも耐え抜いた。だが18号の自爆装置がなくなったのを知らなかったことと、それによって巻き添えを食らうことを恐れていたため、18号に対して本気を出すことができなかった[5]。最終的には夫クリリンを殺された怒りに燃えた18号の17号への気功波攻撃から、「気功波の吸収の際、一定のポーズをとり続けなければならず無防備になる」という弱点を悟空に見抜かれ、龍拳とかめはめ波の連続攻撃の前に消滅する。
ドラゴンボール超[]
義兄クリリンの願いで体内から爆弾を取り除いてもらった借りを返すために力の大会に参加する。 レッドリボン軍の制服は着用しておらず、普段は密猟者から動植物たちを守る仕事をしている。 妻子がいるそうだが漫画、アニメ共に家族の姿は未だに判明していない。
技[]
- パワーブリッツ
- 片手から発射される気功波。名前はゲームから。
- バリヤー / エネルギーフィールド
- 球状のエネルギーの障壁を作り、敵の攻撃を防ぐ技。ピッコロの「魔空包囲弾」を防いだ。
- アクセルダンス / サディスティックダンス
- 18号との連携攻撃。名前はゲームから。17号のものは連携攻撃の後、18号と一緒に相手に向けてエネルギー弾を連射する。未来世界の孫悟飯を殺害した技。
超17号の技[]
- ヘルズストーム
- 腕を外してガトリングガンのように気弾を連射する技。
- フラッシュボンバー
- 両手の指先からエネルギー弾を連射する技。
- 電撃地獄玉
- 両手でスパークを纏う黒い球状のエネルギーを集めて、相手に当てる技。
- エネルギー吸収 / ドレインフィールド
- 気功波系の技を取り込んで自分の戦闘力に加算する能力。ただし吸収時は一定のポーズを取り続けるため、その間は隙だらけとなる。
- バリア
- 気の膜で体を覆い身を守る技。上述の通り悟空の自爆攻撃に耐えた。17号のバリヤーとの性質の違いは不明。
補足[]
担当声優の中原は、初めて17号を見た際「江口洋介みたいだな」と評した[6]。この点は、当時の『ジャンプ放送局』でも読者投稿のネタになっている。
脚注[]
- ↑ 16号曰く、悟空の家は「飛んでいけばほんの数分で着く」とのこと。
- ↑ なお、この際「ひさしぶりに きいたな あいつ(悟空)の声も」と発言しているが、作中にて17号と悟空は直接会ったことがない。この原因について鳥山は「元々ランチが登場する予定であったのを変更した」と語っている。変更した理由は不明(アニメではランチも登場している)。また、声を聞いたことがあるはずのベジータの呼びかけには反応した様子がない。
- ↑ 人造人間編初期では17号と18号のことをトランクスは「19号と20号」と言っていた。詳しくは設定の経緯を参照。
- ↑ セルが劇中で緊急停止コントローラーの存在を恐れる言葉を漏らしている。
- ↑ ただし、悟空は超17号を倒した後、「17号は実は自爆装置がなかったことを知っていて、双子の姉である18号への情から躊躇していただけだった」と推測している。ドクター・ミューも「爆弾ごときでは超17号は痛くも痒くもない」と語っていたが、真相は不明。
- ↑ 週刊少年ジャンプ編集部編「テレビスペシャル特別リポート アフレコ・スタジオ・ルポ!!」『ジャンプ・アニメコミックスドラゴンボールZテレビスペシャル 絶望への反抗!!残された超戦士・悟飯とトランクス』集英社〈ジャンプコミックスセレクション〉、1993年5月31日、ISBN 4-8342-1185-1、164-165頁。
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