ピッコロ大魔王
アニメでの声優は青野武。原作其之百三十五「クリリンの死 そして恐ろしき陰謀」、アニメ『ドラゴンボール』第102話「クリリンの死・恐ろしき陰謀」でそれぞれ初登場。
キャラクター概要[]
かつて地球に降り立ったあるひとりのナメック星人の龍族が、神になるために体から排除した「僅かな悪」が実体化した姿。
分離後、実体化した悪は本体が神になると同時に全く正反対の魔族となった[1]。自らピッコロ大魔王と名乗り、神のもとを脱走[2]、世界征服を企むようになる。当時、神を除いてどんな武道家も敵わないほどの絶対的な力を世界に見せつけ人間たちを恐怖に陥れるが、魔封波を開発した武道家・武泰斗により、彼の命と引き換えに電子ジャーに封印された。
その後、電子ジャーは武泰斗の弟子亀仙人によって海底の奥深くに沈められ、その存在は過去のものとなっていた。しかし約300年後のエイジ753年、その存在を聞きつけたピラフ一味が封印を解き、この世に甦えることとなった。
復活した彼は自分を再び封印する者の登場を恐れ、手下のタンバリンを使ってクリリンをはじめとする多くの武道家を殺害。同時に、老いた自分を若返らせて絶対的なパワーを取り戻すべくドラゴンボール集めを開始する。その強さは老いた状態ですら、孫悟空を瀕死の状態にまで追いやるほどのものであった。
標的を殺したあとは、丸の中に『魔』と書かれた紙を残す。
一人称は「わし」「わたし」が多いが、「オレ」「オレさま」と呼ぶこともある。
ストーリーへの絡み[]
ドラゴンボールを集め、神龍を呼び出して若返りを果たし、それと同時に若い頃の強さを取り戻すと、ドラゴンボールを利用しようとする者が自分を消滅させるという願いを叶えさせることがないように、神龍を殺害する。その後、国王のいるキングキャッスルを陥落させTVの前で世界の国王を名乗り、毎年5月9日に年一回のくじ引きで43地区を一つずつ破壊することを決定し、全世界を再び恐怖の闇に陥れた。
くじ引きの最初のターゲットとしてブルマの両親が住む西の都に赴こうとするが、魔封波を習得した天津飯に呼び止められ、対戦を挑まれる。が、代わりに手下のドラムを産み出して天津飯と対戦させた。戦いはドラムが優勢で展開していたが、その最中に超神水で潜在能力を限界まで引き出した悟空が現れ、ドラムを蹴りの一撃で倒したことで、大魔王は悟空と再び戦うことになる。激闘の末、悟空の両足左腕を使えなくさせるが、右腕を残した事が仇となり、最期は悟空の全パワーを込めた一撃に敗れ、自分の全てを記憶させた卵を生み落とした直後に爆死した。
死に際に、まだ生まれていないマジュニアに悪の根を絶やしてはならないことを言い残すが、そのマジュニアはのちに世界征服という野望を捨てて地球を守る戦士となる。
ピッコロ大魔王の技[]
- 爆裂魔光砲(ばくれつまこうほう)
- ピッコロ大魔王がピッコロ記念日に世界の地区を1つずつ消し去るときに使うつもりだった技。巨大な爆発を巻き起こし、街1つを瞬時にして消し飛ばすほどの威力を持つ。このときは、鳥山が風邪を押し通して描いた影響による作画ミスで、溜めている時と放ったときの腕が逆である。アニメではこのミスを「溜めたエネルギーを移動させて放つ」という演出でカバーしている。
- 爆力魔波(ばくりきまは)
- 全身に気を溜め、手から強力なエネルギー波を放つ。大都市キングキャッスルを跡形もなく消し飛ばした。全身から気を発するタイプの技と違い、自身も爆風に煽られている描写が特徴。常軌を逸した破壊力を誇るが、エネルギー充填の隙が大きいこと、消耗が激しく二度目以降は威力が期待できないこと、が欠点。ゲーム『大魔王復活』と『悟空伝』では、この技が爆裂魔光砲とされている。
- 魔光線(まこうせん)
- 両手に気を集め、それぞれ1発分の気弾を打ち出して相手を攻撃する。1発目はフェイクとして使い、本命の2発目を当てる時間差攻撃も可能。
- 光線眼(こうせんがん)/双魔閃(そうません)/目から怪光線(めからかいこうせん)
- 両目から怪光線を発して視線の先の標的を攻撃する。技の性質上命中率は高く、時間差なしで放つことも可能なため、悟空の片足を負傷させて戦力を削ぐことに成功した。
- 指先からの気功波(ゆびさきからのきこうは)[4]/魔光砲(まこうほう)
- パワーを集中させ、両人差し指から光線を放つ技。『悟空伝』では魔光砲と名付けられている。
- テレパシー
- 相手の脳に直接話しかける能力。タンバリンに命令を下す際に使用している。これ自体はナメック星人の能力でもある。
これらの技は元々同一だった神やピッコロ(マジュニア)も使用している。このほかに、口から怪光線を放ったり、飛行能力も持っている。ピッコロの飛行能力は舞空術と同じ原理とされている[4]。
ピッコロ大魔王の部下[]
ナメック星人・龍族の特徴であるタマゴによる繁殖方法によって誕生した分身とも言える生命体。ただし、悪の力によって変化している[5]。劇中では魔族として表記されているが、生物学的にはナメック星人の亜種でもあり、ピッコロ大魔王の子供とも言える存在。ただし、大魔王自身は魔族のほとんどをあくまでも部下として産み落としている。
この方法で生み出された部下にはピアノ、タンバリン、シンバル、ドラムがおり、名の由来はすべて楽器から。彼らについてはドラゴンボールの登場人物#その他の登場人物を参照。
自分の生み出した部下とはテレパシーで会話が可能であり、タンバリンにシンバルの死を伝え、シンバルが倒された原因を探るようにテレパシーで命じたこともある。部下が死んだ際はひどく苦しんでいるような描写が見られる。
ゲーム『大魔王復活』にウクレレ、バンジョー、オルガンといったゲームオリジナルの部下が登場しているほか、ウクレレは『アドバンスアドベンチャー』にも登場している。また、コンガをはじめとした多数のオリジナル魔族が『悟空伝』に登場している。このほか、シンバルがヤジロベーに倒された回の週刊少年ジャンプの次号予告に、ピッコロ大魔王が放つ第3の刺客として名前だけ登場した魔族・ハーモニカの登場が予告されたが、本編で生み出されることはなかった。
そしてこの能力により、潜在能力を引き出された悟空との再戦で敗北した大魔王は、死の直前に自分の能力を出来るだけ詰めた後継者である分身の卵を産み出した。その卵が孵化して産まれたのが、後述するピッコロ(マジュニア)である。
大魔王が卵を産む際の呪文は「ポコペンポコペンダーレガツツイタ、ポコペンポコペンダーレガツツイタ…」。このシーンを演じた青野は力を入れすぎて体調を崩し、また共演した鶴ひろみは「もう産まないでー」という感じだったと話している[6]。
補足[]
それまで本作品に登場した、ピラフ一味、レッドリボン軍、桃白白など敵キャラの多くがどこかユーモラスな小悪党だったのに対し、このピッコロ大魔王は、亀仙人曰く「名前だけはかわいいが」それまでと比較にならない圧倒的な悪の威厳と強さを持った正統派の悪役として描かれていた。邪悪さを全身から醸し出す本格的な悪役は『ドラゴンボール』および鳥山明の漫画作品史上初でもあり、その存在は作風そのものを大きく変えた。
このピッコロ大魔王編では前述したクリリンをはじめ、魔封波を仕掛けて力尽きた亀仙人、大魔王の願いを阻止すべく飛び出して殺された餃子(チャオズ)など、初めてレギュラーキャラクターの死が描かれている。とくにクリリンの死に対しては、温厚な悟空が師匠の命令にも背き、初めて心の底から激しい憤怒と憎悪を見せた。
彼の理想は恐怖による世界征服ではなく、あらゆる法律や権力が存在せず、あらゆる悪事に対して抑制力が働かない、ある種のアナーキズムのような世界である。これには、悟空側であるランチ(金髪時)も多少共感する描写があった。
また、ピッコロ大魔王の座っていた椅子は、手すりと背もたれにドクロの飾りを付けている以外は、後に登場するナメック星の最長老の椅子と同デザインであり、作者曰く「ピッコロ大魔王の頭の中にナメック星にいた頃の記憶が少し残っていたためではないか」と語っている[7]。
後年ピッコロ大魔王を演じた青野は「この緑色のキャラクターを見てどう演じてやろうかと表現意欲が湧いて、やる気満々になった」と語っている[8]。
ゲーム『大魔王復活』では、ドラゴンボールの力ではなく人間の魂のエキスを集めて若返りに成功している。『悟空伝』では天下一武道会そのものを消滅させてしまっている。また『ファミコンジャンプ』では、ジャンプ世界を征服した悪の親玉に抜擢されている。
ドラゴンボール大全集第1巻には歴代悪役としてピッコロ大魔王、フリーザ、セル、魔人ブウの顔のカットが並んでおり、超エキサイティングガイド「キャラクター編」では悟空が闘った強敵の代表として同じ4人が紹介されてはいるが、各種アニメムック本で歴代悪役が紹介される文章や絵柄の中に前述の3人が出ることは多いことに比べると、ピッコロ大魔王の出番は少なめである。
『DRAGONBALL EVOLUTION』[]
20世紀フォックスの実写映画『DRAGONBALL EVOLUTION』ではドラゴンボールを狙う悪の親玉ピッコロ大魔王として登場。2000年前に地球を破滅寸前まで追いやったが、7人の戦士たちの「魔封波(マフーバ)」によって幽閉されていた。現代にて復活し、次の日食が起こる日までにドラゴンボールを集め、人間への復讐と世界征服を企む。孫悟空の出生の秘密を知っている。また孫悟空らはピッコロがナメック星人であることを知っているが、なぜ知っているかは不明。さらにはピッコロが復活した理由も不明である。ピッコロ大魔王を復活させたピラフ一味のマイが武術の達人で忠実なしもべとして従えている。演じたのはジェームズ・マースターズ。吹き替えは大塚芳忠。
脚注[]
- ↑ アニメドラゴンボールシリーズの回想シーンでは分離する瞬間が何度か描かれたが、どれも最初から成人状態だった。
- ↑ 神の台詞に「地上に逃げた」とある。
- ↑ 1987年発行。集英社刊『ドラゴンボール 冒険スペシャル』より
- ↑ 4.0 4.1 4.2 ドラゴンボール大全集7巻より。
- ↑ ドラゴンボール大全集4巻より。
- ↑ 渡辺彰則編 「super voice talks 声優スペシャル座談会」『ドラゴンボール大全集 補巻』集英社、1996年8月18日、ISBN 4-08-102019-1、107-113頁。
- ↑ 『ドラゴンボール大全集4巻』 169ページ
- ↑ テレビアニメ完全ガイド Dragonball 天下一伝説より。
|
このページには、クリエイティブ・コモンズでライセンスされたウィキペディアの記事が使用され、それをもとに編集がなされています。使用された記事はピッコロ (ドラゴンボール)にあり、その著作権者のリストはページの履歴に記録されています。 |