『ドラゴンボールZ 超サイヤ人だ孫悟空』(ドラゴンボールゼット スーパーサイヤじんだそんごくう)は、1991年3月9日に公開された『ドラゴンボール』シリーズの劇場公開作第7弾である。監督は橋本光夫。
春休みの東映アニメフェアの1作品として上映された。同時上映作は『まじかる☆タルるートくん』。
概説
邦画興行収入(22.1億円) 1991年邦画配給収入(13.0億円)
時期的には悟空がナメック星に到着してから、フリーザとの最終決戦前だと『ドラゴンボール大全集』6巻では解説されている。
チチ役は荘真由美が妊娠と出産後の育児休業のため、この作品から渡辺菜生子に交代となった。
監督を『たったひとりの最終決戦』の橋本光夫、作画監督を中鶴勝祥、佐藤正樹が担当し、悟飯役の野沢雅子による新挿入歌とそれにまつわるピッコロの弱点の設定、さらにはシリーズ初の市街地戦など、スタッフの意欲作となった。また、この作品は冒頭から隕石接近によって地球が危機に瀕しているというシリーズでも珍しい趣向が目立った作品である。
なおタイトルに『超サイヤ人だ孫悟空』と銘打ってはいるが、実際に劇中で悟空が超サイヤ人化することはない(劇場版で悟空が超サイヤ人になるのは次作『ドラゴンボールZ とびっきりの最強対最強』から)。なぜこのような結果になったのかはサイヤ人の擬似超サイヤ人の項で記載している。
2006年4月14日発売の「ドラゴンボール劇場版DVD-BOX」に収録されており、単品のDVDは2008年10月10日に発売された。
あらすじ
全宇宙を支配しようとたくらむ悪の宇宙人スラッグが、地球を最新型惑星クルーザーとして使用するために襲来。
太陽の光を直接浴びると1時間も生きていられない種族であるスラッグ軍団の魔族は、手始めに地球の太陽光線を遮断する。悟空たちはスラッグの野望を阻止しようと闘うが、スラッグの強さはあのフリーザや超サイヤ人をも上回るかもしれないと言う。悟空たちとスラッグ軍団との戦いが始まる。
スタッフ
- 製作総指揮 - 今田智憲、小島民雄
- 原作 - 鳥山明
- 企画 - 森下孝三、清水賢治、週刊少年ジャンプ
- 製作担当 - 鳥本武
- 脚本 - 小山高生
- 音楽 - 菊池俊輔
- 撮影監督 - 坂西勝
- 編集 - 福光伸一
- 録音 - 二宮健治
- 美術監督 - 吉田智子、佐貫利勝
- キャラクターデザイン・作画監修 - 前田実
- 作画監督 - 中鶴勝祥、佐藤正樹
- 監督 - 橋本光夫
- 原画 - 海老沢幸男、山室直儀、石浜まさし、北爪宏幸 他
- 宣伝協力 - フジテレビ
主題歌
- OPテーマ「CHA-LA HEAD-CHA-LA」(作詞 - 森雪之丞)
- OPテーマ「裸足のあいつ」(作詞 - 佐藤信)
- EDテーマ「「ヤ」なことには元気玉!! 」(作詞 - 佐藤大)
- 2曲共に、作曲 - 清岡千穂、小室等、編曲 - 山本健司、歌 - 影山ヒロノブ、北原裕
声の出演
- 孫悟空、孫悟飯 - 野沢雅子
- ピッコロ - 古川登志夫
- クリリン・ヤジロベー - 田中真弓
- ブルマ - 鶴ひろみ
- チチ - 渡辺菜生子
- ウーロン、ハイヤードラゴン - 龍田直樹
- 亀仙人 - 宮内幸平
- ナレーター、界王 - 八奈見乗児
- 神龍、スラッグ(老人時) - 内海賢二
- アンギラ - 難波圭一
- カクージャ - 飯塚昭三
- ゼエウン - 戸谷公次
- ドロダボ - 郷里大輔
- メダマッチャ - 堀之紀
- 兵士 - 里内信夫、緑川光、中尾みち雄
- スラッグ(若返り後) - 屋良有作
ゲストキャラクター
- スラッグ
- 悪のナメック星人。過去にナメック星が危機に瀕した際、神様と同じように星を脱出することで生き延びた。しかしナメック星人では極めて稀な悪の心しか持たずにそのまま成長した突然変異体であり、名前は移住先のスラッグ星からとったものである。界王の見立てによると、スラッグは「スーパーナメック星人」であり、フリーザや超サイヤ人ですら敵わないかもしれない」とまで言わしめた。気に障る発言をしたり、思い通りに成果を上げない部下は即処刑するなど、非常に短気で残忍な性格の持ち主。
- 地球そのものを惑星クルーザーにするために襲来し、侵略を開始。地球の軌道を変え、寒冷化させた。そこでドラゴンボールの存在を知り(侵略に抵抗する悟飯の帽子には、ドラゴンボール〔四星球〕が付けられていた)、永遠の若さを手にするというさらなる野望を抱く。いとも簡単にドラゴンボールを部下たちに集めさせ、永遠の若さを手に入れたスラッグは強大なパワーで悟空を圧倒する。さらにはピッコロも同様の技を持つ「超巨身術」や腕を伸ばす攻撃で悟空を大いに苦しめる。しかし、同じナメック星人であるピッコロが、自身の弱点でもある口笛を悟飯に吹かせたことでスラッグは悶絶、悟空は突破口を切り開く。最後は元気玉の一撃で倒された。
- パンフレットでは、「ナメック星人は、通常は悪の心を持たないため魔族となりにくいが、一度成ればその力は修行次第で他のどの魔族よりも上となる。また、スラッグの場合は生まれながらに悪の心を持っているため、同様に魔族となったピッコロ大魔王などは超えることは造作無い」とされていた。
- アンギラ、ドロダボ、メダマッチャ、ゼエウン、カクージャ、ギョーシュ、他技術者(ロボット?)や多数の一般兵を従えていた。部下たちはほとんどが魔族だが、パンフレットによるとスラッグ以外はナメック星人でなくスラッグ星の原住民とされている。部下は皆、「太陽光線に弱い」という弱点を持っていた。
- 「ナメック星人は口笛が弱点」という設定は、原作には登場せず、鳥山が本作のために提案したアイデアである。
- なお、本作冒頭のサブタイトルのバックには、謎の「巨人」が描かれているタッシリ・ナジェールの岩絵が挿入されている。巨人の正体が古代に地球を訪れ超巨身術を用いたナメック星人であるかのように匂わせることで、本作とその敵役スラッグにミステリアスな印象をそこはかとなく帯びさせるものだった。
- 名前の由来はナメクジの英訳スラッグ[1]。
- スラッグの手下たち
名前の由来は4人の最初の2文字と星雲をもじって「アンドロメダ星雲」から[1]。
- アンギラ
- 腕を地面から伸ばし相手の不意を付く攻撃が得意。口からエネルギー弾を出すなどの技も使っていたが、悟空に返り討ちにされた。その顔付きからナルシストであったようで、自分の出番が来ないことに不満を持っていた。
- ドロダボ
- 背中に翼があり、その巨体とスピードでピッコロに挑むもまるで歯が立たず、最後は媚びて手を組まないかと申し出るが、あっけなく倒された。
- メダマッチャ
- 小柄な体でエネルギー弾の連射が得意な魔族戦士。自分の体からコメダマッチャという自分の分身を生み出し、パワーを吸い取るという不気味な技を使う。悟飯を大いに苦しめる。直後に現れた悟空のパワーも吸収しようと襲い掛かるが、悟空には全く効かず、拳による一撃で倒された。
- ゼエウン
- ポスターにも登場。手下たちの中では最も巨漢だが、うっかり「スラッグ様ももうお歳だ」と口を滑らせたことで、実力を披露することなくスラッグにあっけなく処刑された。
- カクージャ&ギョーシュ
- スラッグ軍団の技術者たち。いずれも同じような容姿をしている。
- カクージャの名前の由来は学者から[1]。
- 一般兵
- 全員魔族で、手から気功波を撃って地球人を攻撃。チチのフライング・エルボーとキックで絶命している。なお、劇中の台詞によると、彼らスラッグ配下の魔族は直射日光が致命傷になるという弱点があり、ヘルメットを着用しているのもそのためである。
- ハイヤードラゴン
- 前作で助けられ、悟飯に懐いている小型のドラゴン。悟飯の口笛にあわせて踊った。
- 詳細はハイヤードラゴンを参照
補足
前々作では戦闘シーンが描かれるなど、見せ場があった亀仙人だが、この作品ではテレビでパニックが放送されていようが、地球が寒冷惑星と化そうが、孫悟空がピンチになっていようが映画の最初からスケベ本を顔に乗せてずーっと寝ているままであり、戦士たちが苦労の末に地球の平和を取り戻した後にようやく「今日もいい天気じゃ」と何事も無かったかのように起きる。
EDでは悟空たちがドライブしている姿が描かれている。その後、テレビアニメでもセルゲーム前に悟空が自動車免許を取得するというアニメオリジナルのエピソードが描かれた。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 渡辺彰則編 「ANIMATION'S GLEANINGS DBアニメの舞台裏 Planning PART2・TVスペシャル&劇場版編」『ドラゴンボール大全集 補巻』集英社、1996年8月18日、ISBN 4-08-102019-1、68頁。
関連項目
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