サイヤ
第6宇宙のサイヤ人については第6宇宙のサイヤ人を参照。
特質[]
惑星ベジータ(旧名:惑星プラント)に住む宇宙最強クラスの戦闘種族。フリーザ一味にはサイヤ人より強い戦士が多いが、これは戦闘に秀でた戦士を各種族から選りすぐった結果であり、サイヤ人のように種族全体で強い民族は少ない[1]。彼らの文明や使用しているバトルジャケットやスカウターは先住民のツフル人が開発したものであり、後にフリーザ軍に技術が渡ることになる[2]。
性格と外見[]
サイヤ人は程度の差はあれど基本的に皆、凶暴で好戦的かつ残忍冷酷な性格である。生まれた時から凶暴な性格であり、地球に送られた赤ん坊の孫悟空も当初は手が付けられないほどの暴れん坊だったが、頭を打った衝撃で記憶を失い、養父である孫悟飯や師匠となる亀仙人らの教育を受けて、純粋で正義感溢れる少年へと成長した。元々はセリパなど女のサイヤ人もいたが、ラディッツが地球に来たエイジ761年の時点で男数名しか生存しておらず、純血のサイヤ人は絶える運命である。隔世遺伝が起こることで、1世紀もの時を経て純血サイヤ人に匹敵する戦闘力を持つ個体が生ずることもあるらしい。
ヒューマノイドタイプの体形に黒髪と黒い目を持ち、風貌は地球人における黄色人種に似ているが、長い尾がある。満月を見ることで大猿に変化する。これは月から出る1700万ゼノを超えるブルーツ波が目を通じ、尻尾に反応することで起こるもので、大猿化後は戦闘力が通常の10倍にアップする。王族とエリートは大猿化しても理性・知性を維持できるが、下級戦士の場合は知性も失われ、叫び回り暴れ回る完全な怪物と化す。通常は温厚な悟空・悟飯もこの時はサイヤ人特有の凶暴性が目覚めるようで、見境なく暴れるようになるが、悟飯は地球人との混血のためか僅かに理性が残っており、父親の悟空と仲間のクリリンの声に反応を見せた(喋ることはできない)。ただし、尾を切断されると大猿に変身することはできなくなり[3]、大猿状態から元に戻る。例え尻尾が切れてしまっても、一定期間を置けば自然に再生する[4]。尾を強く握られると力が抜けてしまうという弱点があるが、鍛えることで克服することができる。前述の悟空・ベジータのような例外を除けば基本的に再生可能な存在なため、弱点と成り得る尻尾はその気になれば自分で切断できる。尻尾の生えてこなかった子供は高い資質を持っている[5]。
純粋なサイヤ人は生まれた時に髪が生えきっており、成人後に伸びたり変化することはなく、全て黒髪である[6]。サイヤ人の髪事情も、地球人と同じように禿げることがあり、髪型が変わらないというわけではなく髪質が少し違うだけである[7]。また、男は髭も生え、ナッパのように髭を蓄えている者もいる。『ドラゴンボールGT』ではベジータが髭を生やしていた[8]。
一般的に戦闘だけが取り柄だと思われがちだが、中には知能に長けたサイヤ人も存在する。しかし戦闘民族であるが故か、栽培マンなど戦闘に関する技術力にばかり偏っている。宇宙船技術などは地球の科学者も目を見張るほどだが、これはツフル人や漂流宇宙船を造った何者かによるもので、サイヤ人の技術ではない[9]。
身体の特質と能力[]
地球のおよそ10倍近い重力を持つ惑星ベジータで生まれ育つこともあり、おしなべて屈強な体を持つ。また、非常に大食漢で、地球人の数十倍も食べる。ただしベジータの弟ターブルは非戦闘体質であり、ジャンプスーパーアニメツアー08『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』では、ターブルの妻であるグレが悟空やベジータ、悟飯の食べっぷりを見て非常に驚いていた。
回復力が高く、地球人より遥かに短い時間で負傷や病床から復帰できる。初代ピッコロ大魔王に敗戦後、悟空は自力で心停止状態から蘇生している。深いダメージから回復すると戦闘力が大幅に上昇する。また、自身の修行によっても力の上昇は可能。しかしサイヤ人が希少種になる前は極端な戦闘力を持った戦士はほとんどいなかった。
戦闘民族であるために青年期が長く、50歳を超えても老化現象がほとんどないが、寿命は地球人と同程度であり、ある年齢になると急速に衰えがくる[10]。もっとも戦闘民族であるサイヤ人の宿命ゆえ、寿命を迎える前に戦闘で命を落とす者がほとんどであった。屈強な肉体は病原体に対しても強く、病気を発症することは極めて稀だが、後述の超(スーパー)サイヤ人に変身することは身体への無理が大きく、寿命を縮める危険がある。
サイヤ人は、生身の状態では宇宙空間で生存することができないとされている[11]。実際ある程度の時間、サイヤ人が宇宙空間で活動している例があり、子供の頃の悟空が月までウサギ団を連れて行ったり、バーダックが宇宙空間で行動している[12]。このほかベジータは悟空との初対決の際、地球を破壊しようとしていた。また、多少趣が異なるが、劇場版オリジナルキャラクターのブロリーは新生児ながらも自分と父親を覆うほどのバリアを展開し、宇宙を放浪していた。
ごく限られたサイヤ人は、パワーボールを生み出すことができ、酸素との混合で人工満月を作ることができる。原作、アニメではベジータ、ターレスが使い、ゲーム版ではベジータ王も使用している。3人とも「はじけて混ざれ!」の言葉と共に人工満月を作り上げる。
地球人との関係と混血[]
地球人との混血の子供は、純血なサイヤ人よりも潜在的な戦闘力が高い。ただ、戦闘を好む好戦的な本能はその限りではない。悟飯に関しては幼少期から青年期に至るまで主に怒りと自らに迫る危機によって潜在能力を爆発させることが度々あった。さらにそれがその戦闘のキーになることも少なくない。実際、叔父であるラディッツに隙を与えたのは彼の功績であるし、ガーリックJr.のデッドゾーンに関しても彼の貢献なくしては突破不可能であった。
地球人とのハーフのトランクスとブラは母親のブルマと同様、紫色の髪をしており[13]髪も伸びる。同じくハーフの悟飯・悟天やクォーターのパンは父親、母親ともに黒髪のため3人とも黒髪。幼少期の悟天は悟空と瓜二つで同じ髪型であったために成長とともに悟空に間違えられ、それが嫌で無理矢理髪型を変えたという記述がある。
サイヤ人の特色である尻尾も遺伝するが、作中では悟飯以外の混血サイヤ人には尻尾の有無の描写がほとんどなく、尻尾が必ず遺伝するのかは不明である[14]。
サイヤ人の家系は、地球に移民した後はベジータと悟空しか存在せず、子孫の多くは地球人の血が濃く、特性も地球人に近い。
社会・歴史[]
古来より、たくさんの星を襲い財をなすという、乱暴かつ非道な生活を続けてきた戦闘民族[10]。元々は流浪の民であり、スカウターなどを生み出すほどの高度な文明を持つツフル人が住んでいた惑星プラントに流れ着いた。ツフル人よりも倍以上は大柄で極めて好戦的であったことから、助けてくれたツフル人[15]を絶滅させて惑星プラントを乗っ取り、惑星ベジータと名を変えて支配した。その過程でツフル人の文明を手に入れ装備や服装まで一新したが、ツフル人を絶滅させてしまったために文明の発達が遅れてしまい、戦いを求めて遠い外宇宙に行くことができなくなってしまったので、フリーザ一味を含む高文明でリッチな異星人と手を結ぶ。その異星人の別荘用、もしくは移住用の星として、他の星に住む住民を絶滅させ、そうやって地上げをした星を商品として高額な値段で売り付けることで、文明や金銭を得ることを主な仕事とした。この星の地上げは戦闘好きのサイヤ人にとって一石二鳥であり、それがどんどんエスカレートしていき、遂には赤ん坊までもが、生まれた直後から戦闘レベルの低い他の惑星に送り込まれ、赤ん坊が成長してからその星の住民を絶滅させてしまうというような、遠大な作戦までをも生み出した。
サイヤ人の社会は、ベジータ王を頂点にした専制国家で身分制度社会であるが、性別や民族による差別はあまりなく、良くも悪くも戦闘力を重視する能力主義社会である。王位は世襲制であり、代々の王はベジータの名を受け継ぐ[16][17]。身分は生まれた直後の戦闘力で決まり、王族、エリート、下級戦士とランク分けされている。生まれた直後の戦闘力の数値が低い者は使い捨てにされ、孫悟空のように赤ん坊の時から強敵のいない辺境の惑星に送り込まれる。また戦闘力数値が高すぎる場合、成長後に地位を脅かす可能性があるとして、劇場版オリジナルキャラクターのブロリーのように逆に処刑される場合があり、ベジータもラディッツ戦での孫悟飯の戦闘力が「他のサイヤ人の子供に比べ、戦闘力が異常に高い。地球の者は皆殺しだ。」と言い、地球侵略を目論んだ。
瀕死から復活すると戦闘力が大幅に上昇する特質を持っているため、下級戦士でも激しい戦闘や修行を繰り返すとエリート戦士の戦闘力を超える場合がある。例えば、孫悟空(カカロット)やラディッツの父親であるバーダックの戦闘力は10,000。名門出で戦闘力4000のエリート戦士ナッパを遥かに超えており、その息子、孫悟空においては、サイヤ人の最エリートであるベジータに天才だと言わしめ、最強戦士になった。しかしバーダックや悟空のような下級戦士は極めて稀な存在で、大半の下級戦士はそのような強さに達する前に死亡するため、下克上が起こることはまずない。
サイヤ人はその高い戦闘能力と好戦性から全宇宙支配を目論むフリーザに重宝されており、また、ツフル人などの宇宙人から得た高度な科学力を持っていた。しかし、長年に亘り自分達を奴隷のようにこき使うフリーザに対し疑念を持ち、またサイヤ人による全宇宙の支配を目論むようになったため、反発するようになっていく。また、フリーザは伝説の超サイヤ人が出現することを恐れており、エイジ737年頃、惑星ベジータはザーボンの進言を受けたフリーザの手によって消滅させられる[18]。生き残ったのは僅かにベジータ、ナッパ、ラディッツ、そしてフリーザが把握していなかったカカロット(孫悟空)の4人だけだった[19]。ベジータ達には、惑星ベジータの消滅は巨大隕石の衝突によるものと伝えられていた[20]。
なお、これらの歴史の詳しい年表を作ることは出来ないが、少なくともツフル人が滅んだときのベジータ王とフリーザに滅ぼされたベジータ王は同一人物であり、サイヤ人の惑星統一から滅亡までの期間はそれほど長くはなかった。
後に悟空はサイヤ人が滅びてしまったのは「罪のない者達を殺したから」と結論付けている。
形態[]
サイヤ人の一覧[]
原作中で登場したサイヤ人には、純血は孫悟空(カカロット)、ラディッツ、ナッパ、ベジータ、バーダックが登場する。このうちバーダックは元々、テレビスペシャル「たったひとりの最終決戦」に登場したアニメオリジナルキャラクターであったが、これを観た鳥山明が感心し、逆輸入の形でフリーザが回想するシーンの2コマのみながら、原作にも登場することとなった。地球人との混血としては孫悟飯、トランクス、孫悟天、パン、ブラが登場、フュージョンやポタラによる合体で誕生したサイヤ人としてはゴテンクス、ベジットが登場する。また悟空の想像の中で、悟空とミスター・サタンの合体であるゴタンが登場するが、一部のゲーム作品においてはゴタンをプレイヤーキャラクターとして使うことができる。
アニメにのみ登場するオリジナルキャラクターは、神様がクリリン達の修行の時に闘わせた過去のサイヤ人、バーダックの仲間であるセリパ、トーマ、トテッポ、パンブーキンや、ベジータの父であるベジータ王などがおり、映画オリジナルではブロリー、パラガス、ターレスなど多数。また合体で誕生したサイヤ人としてゴジータが登場する。『ドラゴンボールGT』では悟空の子孫で同姓同名の孫悟空(悟空Jr)と、ベジータにそっくりの子孫(名前は不明)が登場。
原作では、純血の女サイヤ人は一切登場しない。しかし、アニメでは界王によるサイヤ人の回想シーンで1カットだけ女性のサイヤ人が、フリーザの回想(ベジータ王反乱のシーン)で女性らしい青髪のエリートサイヤ人が登場する。さらにテレビスペシャルではバーダック一味の1人としてセリパが登場するほか、酒場の一場面にも女性サイヤ人が登場している。
ファミコン対応ゲームソフト『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』では、ブロッコ、オニオン、パンプキン(前述のパンブーキンとは別人)が登場している。
ジャンプスーパーアニメツアー08用のオリジナルアニメ『オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』にはベジータの弟であるターブルが登場する。戦闘向きではないため、他の辺境の星に飛ばされていたという。ベジータはターブルの気を知らず、彼の姿を見て辺境の星がフリーザたちに破壊されていなかったと判断した。現在生存しているサイヤ人の中では非常に珍しく、尻尾が健在。
ほかに『ネコマジンZ』では新婚のオニオもいる。
名前の由来一覧[]
純血のサイヤ人の名前は、全て野菜の名前から採られている。悟空の血縁は全員、根菜由来である。サイヤは野菜のアナグラムであり、作者曰く「戦闘民族なのに野菜というギャップを狙った」ものであるとのこと。
原作・原作に近い作品[]
- カカロット(孫悟空)…ニンジンを意味するキャロット。
- ベジータ・ベジータ王…サイヤ人の王子(王)なので、野菜を意味するベジタブルから。
- ナッパ…菜っ葉から。
- ラディッツ…ラディッシュ(ハツカダイコン)から。
- バーダック…ゴボウの英名バーダックから。
- ギネ…ネギから。
- ターブル…ベジータと同様にベジタブルからもじったもの。
- ヤモシ…モヤシのアナグラム。
- パラガス…アスパラガスから。
- ブロリー…ブロッコリーをもじったもの。
派生作品[]
- バーダック…ゴボウの英名バーダックから。
- トーマ…トマトをもじったもの。
- セリパ…パセリのアナグラム。
- トテッポ…ポテト(ジャガイモ)のアナグラムをもじったもの。
- パンブーキン…パンプキン(カボチャ)をもじったもの。
- オニオ…オニオン(タマネギ)をもじったもの。
- ターレス…レタスのアナグラムをもじったもの。
- パラガス…アスパラガスから。
- ブロリー…ブロッコリーをもじったもの。
テーマソング[]
- 修羅色の戦士
- 歌:茅弘二/作詞:岩室先子/作曲・編曲:山本健司
脚注[]
- ↑ 地球人やナメック星人にもサイヤ人の平均戦闘レベルを凌駕した者が少数だが出現している。
- ↑ 『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』において、この戦闘服がサイヤ人の正装だとベジータが述べている。
- ↑ アニメ『ドラゴンボールGT』では、ベジータがブルーツ波発生装置を使い尻尾が無い状態で変身している。
- ↑ 危機的状況下に陥ると突如として生えることもある。ただし、地球の神より何らかの処置を施された悟空と地球での戦いで尾を失ったベジータ、悟飯は以後再生することはなかった。
- ↑ 「CHARACTERISTICS サイヤ人」ドラゴンボール大全集4巻 44頁
- ↑ 切れてしまった頭髪が元に戻るかどうかは不明。ただ悟空はムラサキ曹長や桃白白の刀によって髪が一部切れたことがある。ベジータはアニメ版の初登場時は茶髪だったが、これは原作での登場時色が不明だったこととサイヤ人は黒髪の設定がなかったため。
- ↑ ジャンプ・コミック出版編集部編「マンガ「DRAGON BALL」の真実 トリヤマはこう考えていたよスペシャル part2」『DRAGON BALL 超エキサイティングガイド キャラクター編』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2009年3月4日、ISBN 978-4-08-874803-0、94頁。
- ↑ 髭を生やすこと自体は、鳥山明自身のデザインで、週刊少年ジャンプ編集部編「GT超辞典」『復刻版 ドラゴンボールGT パーフェクトファイルVol.1』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2006年4月9日、ISBN 4-08-874089-0、89頁。に描き下ろしのキャラクター原案が掲載されている。
- ↑ ジャンプ・コミック出版編集部編「第2章 ワールドガイド DBの住人 2 サイヤ人」『DRAGON BALL 超エキサイティングガイド キャラクター編』58-61頁。
- ↑ 10.0 10.1 DRAGON BALL 超エキサイティングガイド キャラクター編 58-61頁 「第2章 ワールドガイド DBの住人 2 サイヤ人」
- ↑ 宇宙空間に出たら死ぬとサイヤ人自身により断言されたことは無い。元となっているフリーザの台詞は「(自分は宇宙空間でも生きられるが)お前はどうかな?」というもの。
- ↑ ただし、前者に関しては初期はギャグ漫画テイストでウサギ団員と兎人参化も月面上で生きており、後者は宇宙では生きられない設定が語られる前に放送されたテレビスペシャルのシーンを、後に漫画に採用したもの(このシーンが大気圏内と大気圏外、どちらでの出来事であるかは不明)。
- ↑ アニメのブラはブルマ同様、水色の髪。
- ↑ トランクスは赤ん坊の時点で既になかった
- ↑ ベジータはサイヤ人を労働力・奴隷として扱ったと言っていた。
- ↑ 「DBの世界 社会」ドラゴンボール大全集7巻 39頁
- ↑ しかし即位前からベジータの名を貰う者は珍しいらしい。ナッパの発言より。
- ↑ アニメ設定では、それより早くベジータ王が反乱、フリーザを襲撃し敗死している。フリーザが惑星ベジータを消し去ることを決めたのはベジータ王と反乱部隊を倒した後だった。
- ↑ 原作漫画『ドラゴンボール』以外の作品は除く。除かない場合はブロリー、パラガス、ターレス、ターブルを入れた8人。
- ↑ アニメ版『Z』20話「よみがえるサイヤ人伝説! 悟空のルーツ」では界王がサイヤ人の歴史を語るアニメオリジナルエピソードが挿入されているが、サイヤ人の悪行を止めるために惑星ベジータの神が天変地異を起こして惑星を破壊したと語られていた。
関連項目[]
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